2018年04月10日

親孝行(2)

私の親父は私に磯釣りのすべてを教えてくれました。出かけるのは高速道もまったく開通していない頃の串本大島です。釣りに行く車中、ずっと私は寝ていて親父は行きも帰りも一人で運転をしてくれました。そんな親父を見て「大きくなったら俺が運転して釣りに連れていっちゃるわ!」とひっそりと心のなかで思っていました。しかし、中学生になると私は釣りをしなくなり、私が東京から帰って来て私の方が釣りを再開するようになった時にはもう親父は釣りに興味を失い、孫と遊ぶことに生きがいを見出していました。そしてついにこの親孝行はかないませんでした。
Kさんは私の親父より10歳ほど若いですが、彼といると私ができなかった親孝行のことをふと思い出しました。控えめなおじさんで押し付けたり偉そうにしたりすることのない穏やかな方でした。一緒に釣りをしていても気持ちの良い方でした。一緒に釣りを楽しんだその日、Kさんは私より一足先に帰ったのですが、釣りを終えて「今日は楽しかった」と渡船屋の人に言っていたそうです。彼と同じ年の方はみんな引退、彼一人が釣りにしがみついていました。昔を懐かしがりいつも一人で釣りをしていることを寂しがっていました。自分の親にできない親孝行でしたが、良いことをしたようなすっきりした気分になれました。
親父もいなくなり、そしてKさんとももう2度とお会いできないでしょう。2度と訪れない時があることを思うと胸がおしつぶされそうになります。「あの時こうしていれば良かった。ああしていれば良かった」こういうことを繰り返していくのが人生なのですね。このように年を重ねて生きていくのです。
posted by スパブ at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 釣り
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